トップレフトに学ぶ
発達障害のための
より良い責任感の作り方

こんにちは

今日も〆切に立ち向かっています。
kyouです。

今回は経済小説のご紹介。
「トップレフト ウォール街の鷲を打て 黒木亮 著」になります。
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舞台はロンドンの投資銀行(日本で言う証券会社)。

シンジケート・ローンという仕事を通じて繰り広げられる頭脳戦の物語。

自分の出身が経済学部というのもあって、何度も読み返すほど面白かったです。

特に参考になったのは「シンジケート・ローン」という業態とそこで働く人々の責任感です。

「引受」という言葉がキーワード。

自分の言った言葉は死んでも守る「マイワード・イズ・マイボンド(私の言葉が私の保証)」の精神は本当にすごい。

私は発達障害があるため、とてもではないが出来ません。

しかし、せめて手帳を見ながら出来る約束だけしよう。

そう考えさせる小説でした。

まずは「引受」という仕事内容から見ていきます。

引受ってどんな仕組み?

非常に簡単に言うと、依頼した企業に対して金融機関が決められた金額を調達してくることです。

それが自前の貸し出しであれば「シンジケート・ローン」になり、市場に有価証券を売ってお金を調達すると「社債や株式の引き受け」になります。

大きな金額になると1社ではとても調達できないため、複数の会社で役割分担してお金を調達します。

引受のために作るチームを「幹事団」といいます。

作中では調達したお金は自動車メーカーの工場建設に使われています。

「シンジケート」というのは元々の意味は「代表者の集まり」だそう。

ここでのポイントは「金額と役割と責任の範囲」をがっちり決めて目標に邁進することです。

このように自分の役割がはっきりしたチームの動かし方は非常にやりやすい。

むしろ高い目標を掲げた場合はこのようなチームを編成して物事に取り組む必要があります。

発達障害の人間とのチームワーク

一般的に発達障碍者はチームワークに向かないと言われています。

しかし、それは単純に方法論を間違えている。

目標、責任、役割の3つが明確であれば、大きな力を発揮してくれます。

私は2回ほど発達障害を持つ人たちの間で、リーダーシップを取ったことがあります。

一番最近のプロジェクトは4人で改善提案のプレゼンテーションを行うという物でした。

その中で気づいたことは、「内容面の理解」よりも「目標、責任、役割」を完全に定義することの大切さです。

既存の知識の差があるとかなり辛くはなりますが、がっちりと自分のすべきことを定義した方が物事が進みます。

○○さんはこれをやってください。理由は○○さんはこれが得意だからです。

成果物はワードでフォーマットを作っておくので、それに従ってください。

これくらいの粒度ですね。

内容面の理解を先に進めると全てが崩壊しかねないのでご注意ください。

私達は納得出来ていないことを、質問することはほぼ出来ません。

私も指示を出すことをして初めて気が付きました。

しかし責任分担が明確になったプロジェクト後半は、一日ごとにクオリティが上がるのが分かるほど能率が上がりました。

発達障害個人として


約束を破ることは、障害を持っていて免罪されることではありません。

そもそも破るような約束はすべきではありません。

この原則をこの小説は考えさせてくれる。

トップレフトでは「マイワード・イズ・マイボンド」という言葉が出てきます。

発達障害を持つ私としては「守りたくても守れない」という状況を幾度となく経験してきました。

もちろん同じ数だけ信用を失っています。

「シンジケート・ローン」の仕事は、遠距離に居る幹事団の仲間と電話で連絡を取りながら進めます。

だからこそ「発した言葉」を取り消すようなことがあってはならないわけです。

それこそ途方もない金額の損失につながってしまいます。

実は前職の財務部でも責任者が「Done」と言って取引を実行する場面を見たことがあります。

金融取引に関わる場面では良く「Done」という言葉が出てくる。

「もう取消できません」というニュアンスが強くあるわけですね。

私は発達障害というハンディキャップを確かに持っています。

だからこそ、約束を無下にしない工夫が必要です。

この小説を読んでから、約束のハードルが思いっきり上がりました。

本当に約束する前に

「頭を整理したいので、三十分後に連絡させてもらっていい?」
トップレフト ウォール街の鷲を打て 黒木亮 角川文庫 2005p199より一部改変して引用

こう聞くようになりました。

この対応は「マイワード・イズ・マイボンド」と言った登場人物の物です。

作中でもプロフェッショナリズムの体現者として尊敬されている。

仕事で重要なのはやはり信用です。

仕事をするために障害を何とかする

私のような発達障害を持っていると、一から責任感を作っていかなければなりません。

それは「約束を守るためのスキル」と同義です。

同じく発達障害を抱えたブロガーである借金玉さんもこの問題を記事にされていました。

http://syakkin-dama.hatenablog.com/entry/20180814/1534248584

結局障害の言い訳は自分に対して使うためであり、他人には使ってはいけないのかなと思います。

もちろん基本的に体調は悪いです。

それと何とか付き合っていくためにスキルを上げることが必要なのかなと感じます。

本日のまとめ

 

発達障害を持つ人が責任という物を実感するのに「トップレフト」は役に立ちます。

チームワークを取るときには責任、目標、役割を明確に。

これは引受という概念で理解できます。

個人としては約束のハードルを上げましょう。

出来ない約束をしないために相手に確認の時間を取ることが重要です。

例え障害があっても人間としての信用は守るべきです。

一緒に何とか頑張りましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

活字中毒歴16年目、年間100冊の読書と週3回の本屋通いが趣味 「行動するための読書」を テーマに書評を書いていきたいと思います。 メーカーの財務部を退職後 ADHD向けの就労支援施設にて訓練中