暗闇でも走る
発達障害に関わる全ての人に読んで欲しい。
そんな本の紹介です。

「おお、届いた」
郵便受けを覗くと目当ての本がAmazonから届いてました。
こんにちはkyouです。

今回は知人の書いた本の紹介です。
「暗闇でも走る 発達障害・うつ・ひきこもりだった僕が
不登校・中退者の進学塾をつくった理由」という本です。

Amazonのリンクは以下です。
http://amzn.asia/66rk4co


著者の安田祐輔さんには、
とある海外インターンシップにてお世話になりました。

すべての「頑張れない」人の、
ヒントになる本です。

安田さんは自身も発達障害の当事者でありながら、
「キズキ共育塾」という
高校中退や引きこもり、不登校を経験された方向けの
学習塾を経営されています。

私自身も発達障害の当事者で、
この本から学ぶことが多くありました。

「今までで得たものを考えること」「しっかり休む」

「考え方をずらす」「変えられるものに注目する」 などなど。
全てのページがなんとかやっていくためのヒントにあふれています。

「頑張れない状況」に苦しむ人の力に少しでもなればと思います。

※なお個人的な体験談が出てきますが、
あくまで個人的なものなので 医学的な効果を保証するものではありません。
治療は医師との相談の上、慎重に行ってください。

「運が良かった」の重さ、自分が得たものは

「確かに一つでも間違っていたら、とんでもないことになっていた。」
筆者は自分のことを「運が良かった」と言います。
酷ですが、私もそう思いました。

私は20代の中盤になるまでタッチタイピングが出来ませんでした。
しかし、筆者が苦労していた勉強は、
私は中学に上がる時点でそれなりに出来るようになっていました。

得意科目の文系教科は特にそうで、
暗記の能力で全てを勝ち取ってたようなものです。

少なくとも「勉強」という面が学校生活において、
私を救ってくれているような状況でしたね。
その時の経験が大卒という肩書をもたらし、今こうして文章を書く素地になっています。

就職活動もそれなりに進んでいます。
しかし、それはびっくりするほど「運」に頼ったものだと、 この本を読んで改めて感じます。

幸い、不登校は小中高と経験せずに来ましたが、
クラス割のメンバーが悪ければ、
あっという間に不登校になったでしょう。

だからこそ「現在の手持ちのカードをどう増やして、どう切るか」という視点が 重要なのではないかと考えます。

発達障害の当事者は、 基本的に人生がハードモード設定です。
「運」で手に入れたカードをどう切るか。

そして今持っている手札は一歩間違えれば手に入らなかったこと。
改めて「自分の持っているもの」を認識する機会になりました。

「どうすりゃいいんだよ」そう思ったらまずは休む

「これからどうすりゃいいんだよ……」

昨年の丁度、今頃でしょうか。
私は会社の最寄り駅でベンチに座りながら、 空を見上げていました。

会社を休職することが決まったからです。
まさに「天を仰ぐ」という表現がぴったりくるほど、 先が見えていません。

正直進路が決まらないという意味では、現在も変わっていないですが、 心持ちは大きく違います。
「まあ、やっていこう。試してみよう」
そんな気持ちが根底にあります。

この本に紹介されている、
「考え方をずらす」ことと「変えられるものだけに注目する」という2つの考え方が、
大きな変化を生みました。

そして何より休みましょう。
医師と相談しながらまた再起動できればいいんです。
まずは休みましょう 。

考え方をずらす

「もうダメだ……」
私にとって、 今と去年とではこの言葉の意味することは大分違います。

去年の段階では大まじめにマズい感情が付いてきました。
茶化す要素はゼロです。

しかし、体を休め、今の就労支援施設で訓練を積む中で 少しずつ考えが変わっていきました。
何とか「まあ自分もちゃんと成長するな」という実感が湧いてきています。

進歩の内容は、実際の社会経験からみれば笑ってしまうような、 小さな進歩です。
しかし、これがあるからこそ人間は「もう少し頑張ってみよう」と思えることが良くわかりました。
これが最下限までいくと本当に体が動かなくなります。

わずかな成長を足掛かりにして、自分の欠点が「致命傷」ではないことに 気付いていく。
そんなプロセスが必要です。

汚い話になりますが、 例えば私はべらぼうにお腹が弱く、しょっちゅう下します。
それを「フルタイムの勤務ができない障壁」ととらえるか、
「まあトイレに間に合うかが問題なだけだ」ととらえるかは大きな違いです。

(漢方薬で改善したため今は快方に向かってます)

発達障害を抱えると、
一事が万事こんな調子です。

それを一つずつ対処できる、対処しようと思えるかどうかが分かれ目でしょう。

 

変えられるものだけに注目する

「相手に動いてもらう前に自分を変えよう!!」

体調を崩している時に、 こんな類の言葉に対して私は反射的に思いました。
「どこの自己啓発本だよ……」と。

体調を崩し、尊厳が傷つくと、人間不信になります。
ものを頼む、頼まれたの関係でも 猜疑心が湧くようになります。

私が会社を退職して、 周囲の人と話すうえで一番「ズレて」いたのはこの感覚です。
普通はいい塩梅に「他人が出来ること」を期待すると同時に、
「他人が失敗する」ことも計算に入れます。

しかし、体調を崩すと他人も自分も全て失敗するかのような前提を置いてしまいます。

「いやいや極端すぎだろ」
そんな声が聞こえてきますね。

経験しないに越したことはありませんが、
少なくとも私はそうなってました。

筆者は言います。 「変えることが出来るもの」に注目しようと。
これは本当にその通りです。

何ならノートの真ん中に線を引いて、
変えられるものと変えられないものを具体的に書いて区別するくらいで、
丁度良いと思います。

自分自身の体調に関しても、
変えられるもの(対策が打てそうなもの)を認識するのは大切です。

そしてそれを頭の中だけでやれるのは、 健康な方だけです。
健康な方でも人間関係に悩んで、 視野が狭くなったらきついのではないでしょうか。

どんな手段でも良いので、
「変えられるもの」をきちんと認識することが、 再起への第一歩になりそうです。

 

何回でもトライするために

「発達障害を持ってる人間は心が複雑骨折してる。 失敗の数がべらぼうに多いから」
出典はどなたか存じ上げませんが、Twitterでこの言葉を見て 言いえて妙だなと感心しました。

発達障害があると、とにかく失敗の数は多くなります。
そりゃ普通の人が失敗しないところでミスるのですから当たり前です。

その途中で力尽きて、 倒れることが多いのも事実でしょう。
私も1回倒れました。

だからこそ、この本は役に立ちます。
著者は当事者で支援のプロフェッショナルです。

学ぶべき視点は、 その人ごとにあるといってもいいくらいです。
まとめきれないくらい多くの学びがありました。

当事者も支援者も家族も、
行政も民間企業も発達障害に関わる全ての人に読んで欲しい。

そんな本です。
やけくそ気味でも「もう一回やる」と立ち上がる人を 当ブログは全力で応援します。

最後に私の尊敬する、とあるブロガーの言葉で終わります。

やっていきましょう。

キズキ共育塾のURLはコチラになります。
https://kizuki.or.jp/
 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

活字中毒歴16年目、年間100冊の読書と週3回の本屋通いが趣味 「行動するための読書」を テーマに書評を書いていきたいと思います。 メーカーの財務部を退職後 ADHD向けの就労支援施設にて訓練中